アキユウの独り言 blog

エルネア王国の初期国民の妄想、ネタバレ等多分に含まれますのでご注意ください。

2020-01-01から1年間の記事一覧

12.そろそろ話をしようか。(ウィルマリア編)

────……やってしまった。 これはどう考えても、もう完全にアウトだ。 噴水通りを走り抜けながら、アタシは恥ずかしさと後悔で叫び出しそうになる口を必死に抑えた。 あの様子だと、ラザールには完璧にキスしたことがバレているはずだ。 どうしよう、と青くな…

11.キスと後悔(ウィルマリア編)

“順調”? と、聞かれれば、そうだと頷ける。 ───うん。 アタシとラザールは晴れて誤解も解きあって恋人同士として、二人の関係は世間一般から見て至って順調……なのだと、思う。 うん、思う。 思うの、だけど。 ……それでも、今のアタシには大きな大きなモヤモ…

10.諦めた恋(ウィルマリア編)

あれからアタシは────、 ……落ち込んで、落ち込んで、落ち込んで、 ──────そして、開き直った。 今のアタシにとって、「二人でどっか行かない?」は、もはやラザールに対する毎日の挨拶と化している始末。 何度断られようとも諦められないのだから、こうなっ…

9.恋愛対象外。(ウィルマリア編)

───毎日が……忙しなく過ぎていく。 父さんがガノスに旅立ってから、アタシの毎日はガラリと変わった。 ──まず、みんなに『殿下』ではなくて、『陛下』と呼ばれるようになった。 そして、国の祭事や行事には必ず出席して、祝いの言葉や激励の言葉を述べなけれ…

8.「王」になるということ(ウィルマリア編)

───どうしたらいいのか、分からなかった。 そんなあたしに出来ることは、一つだけ。 “ラザールと距離を置くこと” 今のあたしには、それしか思いつかない。 あの日からラザールを見掛けては、転移石を使って逃げての繰り返しで。 忘れたくても、そう簡単には…

7.あたしの願い(ウィルマリア編)

───……夢を見た。 それはあたしが、ずっと……ずっと、思い描いていたはずの──。 ……──王子様のようなレノックスに手を引かれ、「殿下」ではなく「ウィルマリア」と甘く囁かれる───、そんな夢。 ずっと思い描いていた事を、夢で見ることが出来た。それなのにあた…